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「夕影の夢」桜塚高校(追手門学院高等学校)

まずは、桜塚高等学校の皆さん、『夕影の夢』上演お疲れ様でした。本番を観劇しました。感想を何点かピックアップして、書いていきます! まず入場時に頂いたパンフレット、その中身に驚かされました。全て手書き...!!あらすじやキャラクター紹介が、短い文章ながらも思いがギュッと込められているように感じました。表紙や部員紹介、随所に描かれたイラストたちが写真じゃないの!?と疑うほど丁寧に描かれており、開演が楽しみになるものばかりでした!そして最後の見開き1ページは「観劇後に読んでね!」となっていて、一体何がかいてあるのだろう...!と開演前から観劇後を楽しみにさせる工夫が施されており、開演までの間とてもワクワクさせられました。 開演後、照明が点いて真っ先に、舞台装置の作りこみにとても驚かされました。年季の入ったベンチと駅名標。鮮やかに咲いている彼岸花。観客に一瞬でその場所の情景をイメージさせることができる装置が、これでもかと盛り込まれていて、作品に開演直後から入り込むことができました。 出演者さんは手首にミサンガをつけていたのですが、ゆうめい駅の「未練のあるものを、生者・死者を問わず引き寄せる」という特徴から、生者も死者もお互いに触れ合えるために、数珠を持たせる意味があるようにも思えたし、生者であるつむぎは白のミサンガを、死者であるかすみは黒、生者と死者の間の存在である駅長は白と黒のミサンガを、という風に糸の色によって自分がどういう存在であるかを表しているのかなと考えたりとストーリーの内容以外でもこのような細かい設定に気づくことで楽しむことができました!! 上演後カーテンコールにて、この公演で引退となる、3年生の出演者さんや裏方さんが泣きながら今回の公演に対しての思いを語っていて本当にこの部活や仲間、演劇のことが好きなんだろうなと感じられたし、「部活は楽しいことばかりじゃなくてやめたくなるくらい辛い時もあったけれど最後まで続けて良かった」という言葉にめちゃくちゃ共感しました。暗転したあとの拍手も凄く長い間続いていて、桜塚高等学校の演劇部さんが、色んな方々から愛されていることがとても伝わってきました。 改めまして、桜塚高等学校の皆さん公演お疲れ様でした! 追手門学院高等学校 無量林 奏(3年)・山邊 愛梨(2年)

「トシドンの放課後」美原高校 (岸和田高校)

それぞれが抱える悩みと、すこしずつ変わるお互いの関係性がうまく描かれていてとても良かったです。 はじめの場面では平野と森田の気まずい関係が続き、ここからどうなっていくんだろう、と世界観に引き込まれていきました。少しずつ明かされていくお互いの悩みがどれも共感できるもので、役者さんの細かい動きから心情がよく現れていて、すごく魅力的でした。 また、「学校の授業に参加できない生徒」という最近の高校生の抱える悩みや心情を、少し昔(ガラケーや昔のCDプレイヤーが使われている時代)の舞台で表現することでそのことがより昔から誰かが抱えていた悩みであることを感じられました。 「普通」の基準がわからない、愛について、正しいあり方がわからない、など、誰もが一度は考えたことのある悩み、それについて素直に向き合えない主人公の立場が、すごく身近に感じられました。その中で報われるかわからなくてもひたむきに勉強をする平野がとても印象的でした。最後の場面で、トシドンを使って平野を勇気づける森田は、2月〜3月という、1ヶ月間、ずっと平野の努力を見ていたからできたことだと思いました。 誰もが努力をしたことがあって、それに結果が伴うこともあれば、伴うことがないこともあるかもしれない。その過程で諦めてしまうこともあるかもしれない。でも、その努力を見ている誰かがいる。そんなことを気づかせてくれる物語でした。 舞台装置がシンプルで、でもそれが自然に役者の演技を引き立たせていたと感じました。時間経過をホワイトボードで表現するのもわかりやすくて良かったです。 それぞれが不器用なりに前を向いて、また別の方向に向かって歩き出す最後にはとても感動させられました。 本当に素晴らしい劇を見れて良かったです!もう一度見たいと強く思います! 本当にお疲れ様です!ありがとうございました!

「トシドンの放課後」美原高等学校 (岸和田高等学校)

美原高校さん、上演お疲れさまでした。 歩き方、しゃべる時の声の固さ、相手の話を聞いている時の態度、感情の変化が目に見えて分かるかどうかなど、あらゆる点において正反対なあかねと平野が生徒相談室で出会い反省文をきっかけに親しくなっていくのが印象的です。 セリフがなく動きだけのシーンが時々ありましたが、何をしているのかだけでなく二人の感情やその場の空気感まできちんと感じることができて、言葉がないのにも関わらず細かくて丁寧な動きのおかげでこんなにも伝わるものなのだと感銘を受けました。また、あかねの怒りや悲しみを表現する演技のバリエーションが豊富でとても勉強になりました。 平野が進級できないと知り弱音を吐くシーン、自分が望んだわけではない苦しい状況の中で5割の希望に懸けた必死の努力が報われなかった瞬間の絶望感が会場をどん底に突き落としていくのを感じました。その後のあかねがトシドンのお面をつけ、平野を叱る場面では涙が止まらず、メモを取るのも忘れて舞台を見つめていました。最後に二人が俯きながら別の扉から部屋を出ていくのを見て、より一層胸が詰まる思いになりました。 あかねと平野が抱えている問題やそれに対する大人たちの対応があまりにもリアルで、実際にその現場にいるような緊張感を覚えました。特に、あかねが先生に向かって叫んでいる時に一つ一つの言葉が刃物のようにえぐられるような感覚になりました。 機会があればまた美原高校さんの劇を見たいです!本日は本当に素晴らしい劇をありがとうございました!