「トシドンの放課後」美原高等学校 (岸和田高等学校)

美原高校さん、上演お疲れさまでした。

歩き方、しゃべる時の声の固さ、相手の話を聞いている時の態度、感情の変化が目に見えて分かるかどうかなど、あらゆる点において正反対なあかねと平野が生徒相談室で出会い反省文をきっかけに親しくなっていくのが印象的です。
セリフがなく動きだけのシーンが時々ありましたが、何をしているのかだけでなく二人の感情やその場の空気感まできちんと感じることができて、言葉がないのにも関わらず細かくて丁寧な動きのおかげでこんなにも伝わるものなのだと感銘を受けました。また、あかねの怒りや悲しみを表現する演技のバリエーションが豊富でとても勉強になりました。
平野が進級できないと知り弱音を吐くシーン、自分が望んだわけではない苦しい状況の中で5割の希望に懸けた必死の努力が報われなかった瞬間の絶望感が会場をどん底に突き落としていくのを感じました。その後のあかねがトシドンのお面をつけ、平野を叱る場面では涙が止まらず、メモを取るのも忘れて舞台を見つめていました。最後に二人が俯きながら別の扉から部屋を出ていくのを見て、より一層胸が詰まる思いになりました。
あかねと平野が抱えている問題やそれに対する大人たちの対応があまりにもリアルで、実際にその現場にいるような緊張感を覚えました。特に、あかねが先生に向かって叫んでいる時に一つ一つの言葉が刃物のようにえぐられるような感覚になりました。

機会があればまた美原高校さんの劇を見たいです!本日は本当に素晴らしい劇をありがとうございました!

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