「トシドンの放課後」美原高校 (岸和田高校)

それぞれが抱える悩みと、すこしずつ変わるお互いの関係性がうまく描かれていてとても良かったです。

はじめの場面では平野と森田の気まずい関係が続き、ここからどうなっていくんだろう、と世界観に引き込まれていきました。少しずつ明かされていくお互いの悩みがどれも共感できるもので、役者さんの細かい動きから心情がよく現れていて、すごく魅力的でした。
また、「学校の授業に参加できない生徒」という最近の高校生の抱える悩みや心情を、少し昔(ガラケーや昔のCDプレイヤーが使われている時代)の舞台で表現することでそのことがより昔から誰かが抱えていた悩みであることを感じられました。

「普通」の基準がわからない、愛について、正しいあり方がわからない、など、誰もが一度は考えたことのある悩み、それについて素直に向き合えない主人公の立場が、すごく身近に感じられました。その中で報われるかわからなくてもひたむきに勉強をする平野がとても印象的でした。最後の場面で、トシドンを使って平野を勇気づける森田は、2月〜3月という、1ヶ月間、ずっと平野の努力を見ていたからできたことだと思いました。

誰もが努力をしたことがあって、それに結果が伴うこともあれば、伴うことがないこともあるかもしれない。その過程で諦めてしまうこともあるかもしれない。でも、その努力を見ている誰かがいる。そんなことを気づかせてくれる物語でした。

舞台装置がシンプルで、でもそれが自然に役者の演技を引き立たせていたと感じました。時間経過をホワイトボードで表現するのもわかりやすくて良かったです。

それぞれが不器用なりに前を向いて、また別の方向に向かって歩き出す最後にはとても感動させられました。
本当に素晴らしい劇を見れて良かったです!もう一度見たいと強く思います!
本当にお疲れ様です!ありがとうございました!

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