「わたしたちはうそつき」 豊島高校 咲くやこの花高校

 開演前、大きなつり物や中央で一段上がったアトリエブースの完成度の高さに、わくわくが止まりませんでした。前説、突然出てきた細身の男性。に馴れ馴れしく接する怪盗......怪盗!? そして開演。キャラクターが豊富で、コミカルなシーンとシリアスなシーンの緩急が心地よく、最後まで惹きつけられました。
虹色、サイレンの赤色、アトリエを寂しく照らす明かりなど、印象的で鮮やかな照明が各所に使われていてわかりやすく、見ていてとても楽しかったです。また、場面場面に寄り添った音楽が、それぞれの人物の持つ感情を全身で感じさせてくれました。特に、画家蓼丸総一郎の過去を描く場面がテンポの早いクラシックにピッタリハマっていて、彼の喜びや焦りや苦しみがありありと伝わってきました。
 そして何よりも、役者さんの演技が素敵でした。舞台上を広く使っていながら、空間が空いているようには見えないのは、各々の役者さんの演技がしっかりとしていらっしゃるからだと感じました。それぞれの人物たちの外に出る感情だけでなく、内包される感情でさえも鮮明に伝わってきました。
 芸術に対するそれぞれの後悔やこだわりなどの色々な感情を、「単純な2文字」で言い切ってしまう気持ちの良さが眩しく、何より光り輝いて見えました。
 この作品の感想を「単純な2文字」以上で表すのは野暮で冗長だけれど、それでも単純な2文字だけでは我慢できない、たくさんの気づきをいただけた作品でした。機会があれば、ぜひもう一度観劇させていただきたいです。素敵な作品をありがとうございました! 

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