「ハックルベリーにさよならを」大阪成蹊女子高校 (桜塚高校)

 大阪成蹊女子高校さん『ハックルベリーにさよならを』の上演お疲れ様でした。

 あらすじを見て、カヌーがどのように物語に影響してくるんだろうとすごく気になったので、開演するまでとてもワクワクしていました。また、女子高の俳優さんがどのように男性役を演じられるか気になっていたのですが、凄く上手に女の子が男性役を演じられていたので感動しました。他の役者もキャラクターにしっかりハマっていました。一人一人の個性がハッキリしていたので、見ていて面白かったです。表情の動きもあってキャラクターの個性がより表現されているように感じたのでとても良いと思いました。現実的なストーリーの作り込みが素晴らしく、とても引き込まれました。この作品には自分の考えと重なる点も多く、自然に涙が出ました。まだ小学生の主人公にも関わらず、周りの環境からか考えが少し大人っぽいところがあるように感じました。そんな主人公が自由を求めて、自分の進みたい方角に進むことができるカヌーに乗りたいと願う姿には非常に心を動かされました。2人のケンジの掛け合いのシーンでは、本当にその場面に遭遇しているかのような感覚になりました。お母さんのケンジを思う気持ちの表現が自然で素晴らしかったです。


 ここからは裏方にも触れたいと思います。照明は、ホリゾントライトが巧みに使われていて、シーンの雰囲気作りにとても貢献されていたと思います。物語後半辺りからスモークが焚かれ始め、「一体どんなシーンでこのスモークが活かされるんだろう?」とワクワクしていると、ラストの隅田川を下っていくシーンで、色鮮やかな明かりたちとの相乗効果により、素晴らしい舞台となっていました!…と思いきや、ラストで、ボクがケンジの被っていたキャップを譲り受けて空を見上げ、舞台中央後方に置いてあったソースフォーで光の筋を作り出すという演出には痺れました。あの終わり方はとてお洒落というか、かっこいいというか…とにかく言葉で言い表せないほど素敵でした! また、川を下るシーンの照明で、PARや斜め(間違っていたらすみません!)に、それぞれ違う色のカラーフィルターを仕込まれていたのも、工夫されていて綺麗だなと思いました。舞台美術としては、ケンジの家のリビングのテーブル、上手下手の捌け口に伸びる階段状の通路、川の説明をするためのプロジェクションマッピング、などなど、どれも完成度の高いものばかりでした。特に、リビングのテーブルをボートに見立ててパドルを漕ぐという演出には「そんな使い方もあるのか!?」と驚かされました。もちろん照明や舞台美術だけではなく、音響さんの効果音やBGM、歌の選曲や、音量バランスも絶妙で、役者さんたちの演技を一段と引き立てていたなと思います。選曲といえば、前説で「曲が流れてきたら手拍子を!」とお願いをされ、今回はカヌーが題材のお話でもあったので「もしや!?」と思っていたら、期待していたとおり、劇中でフレデリックさんのスパークルダンサー(競艇のCMソング)が流れてきました。個人的に大好きな曲なので、ものすごくテンションが上がりました!(笑)  役者さんのダンスと音響さんの音楽、そしてお客さんの手拍子とが合わさって初めて完成する演出も素晴らしく、参考にさせていただきたいなと思いました。


 この作品は演技面から演出面まで、勉強させていただくようなことばかりでした。また機会があればぜひ観劇させていただきたいです!大阪成蹊女子高校のみなさん、今日はこんなにも素敵で最高な劇を見せてくださり、本当にありがとうございました!


桜塚高校 観劇ブログ担当

中原 響(2年)   岡添 珠希(2年) 鎌田 大雅(3年)


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