「ガッコの階段物語」 長尾高校 ()
長尾高等学校さんの「ガッコの階段物語」を観劇させて頂きました。
階段の前で立ち止まっている人を元気付ける「階段部」。序盤は登場人物の背景があまり明かされないにも関わらず、ひとりひとりに愛着を持てるような個性的な演技が素晴らしかったです。舞台上を激しく動き回って叫ぶ姿に熱量をぶつけられるような感覚で、まさかほとんどの方が初舞台だなんて思いもしませんでした。
怪談話や階段話で盛り上がる激しくコミカルな場面が「息を潜めろ!」の一言で、パタパタパタ、と囁きがだんだん激しくなる不穏な場面へ一転し、また何事もなかったかのようにコミカルな階段部のシーンに戻る。空気感が一瞬で切り替わり、ここからどうなるんだろうと物語の中に引き込まれました。
「何の為に階段を登るのか」繰り返しそれを問われる中で登場する日常の場面は、コミカルでテンポ良く、尚且つ人生を思って少しほろっときてしまうような良いシーンでした。ありきたりな日常の場面を一気にドラマチックに感じさせる選曲も素晴らしかったと思います。
一歩を踏み出す為の階段、天国への階段、人生の階段、津波から逃れる命の階段。死者を思って階段の前から進めなくなってしまった生者を励ます死者、という構造が浮かび上がると、面白おかしく精一杯ガッコを励まそうとする階段部たちがなんとも愛おしく思えてきます。そして、生き残って日常を生きていけることの苦しみも強烈に伝わってきました。
階段を登ったから生きている、生きるためには登らなければいけない、生きているから登ることができる…。階段のすぐ下まで迫った水面の下からガッコを励ます真っ直ぐな声が胸を打ちました。このお芝居の魅力はそういった真っ直ぐさだと思います。
役者の方々によるまさに全力投球の演技、そして舞台上の雰囲気をガラッと変化させる音響・照明。細かいところまで凝って作られており、沢山の練習量があってこそなのだろうと感じる舞台でした。
素敵な舞台をありがとうございました。長尾高等学校の皆さん、お疲れ様でした。
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