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「傷は浅いぞ」池田高校 (東海大学付属大阪仰星高校)

序盤から細やか且つ濃密に繰り広げられるギャグに笑わされ直ぐに劇に引き込まれました。コメディで最後まで笑って終わるのかと思いきや回想や劇の後半にかけて衝撃の事実が露わになり、劇が終わるまで口が開いているのに気がつかないほど劇にどっぷりと浸らせていただきました。中でも私のお気に入りの演技は愛弓のゴキブリ最中を食べる演技です。あまりに咀嚼や嗚咽を抑える動きが上手で自分もゴキブリを食べている気分になりました。食べ切った後の目に少し涙が浮かんでいるのがこれまた良いスパイスになっていました。正直普段悪役を観ても演技の問題であまり腹が立たないという事があるのですが、今回の立刀花さんの演技、存在感が大変秀でておりとても客をイライラさせていたかと思います。一本槍さんはアイドルに振り回されるが模範的なマネージャーとして全力でサポートする姿勢かっこよかったです。盾林さん。ずるいです。いい意味で、何度笑わされたか、出て来ただけで放たれる異様なオーラ遊び心ある演技、女性らしい所作劇が進行する上で欠かせないコメディアンでした。本当に自分のあらゆる感情を揺さぶられ続ける劇で心から楽しませていただきました。(3年 瓜坂治透)  公演お疲れ様でした。「傷は浅いぞ」を観ての感想は、言い表すならば、ずばり、とても面白くて最後に考えさせられる芝居でした。アイドルを目指す女性と専属マネージャーの二人がメインの物語でした。アイドルを敵対視している元アイドルのプロデューサーの嫉妬も含まれていて、鎖鎌が致命傷になって、、、。という笑いになるシーンがあって最後にまでも笑わせて頂いてとても良かったです。最後の最後に現実?に戻ってきたときは、今までの経緯は全部主人公の頭の中?だったのかと困惑したので、真相を知ってみたいという気持ちにもなりました。個人的には、女性役の男性の女性のような話し方や仕草が女性に非常に似ていたのでお客様も終始笑っていたのではないかと思います。アイドルが本物のGを食べたと知ったときには少し引いてしまいました。しかし、後からわかる本人の強い思いがこれらのことを可能にしているんだと考えさせられるので、自分も強い意志を持ちたいと感じました。  本日は本当にありがとうございました。(3年 川口瑚々海)

「赤ずきんちゃん!」 精華高校Bチーム (長尾高校)

見ていて雰囲気に飲まれて、終始不思議な感覚に陥っていました。赤ずきんと母親、猟師(父親)と祖母の関係がシンクロしていて、どちらも親からの解放、自由を求めて原作の赤ずきんとは異なった終わり方していたのが良かったなと思いました。赤ずきんは今まで寄り道などしなかったというセリフがあったのですがそれは親の過保護で束縛し、自由を与えられてなかったのかなと考えました。初めの母親の印象は子供思いの良いお母さんって感じでしたが話が進むにつれ、母親のどこかおかしい、普通の人とは違うんだっていうのを気付かされました。また、猟師と祖母の関係もどこか赤ずきんと母親の関係と似ていて、猟師も祖母から解放されたいという願望があったから赤ずきんの寄り道したい思いを自分と重ねて彼女を逃す選択をしたのが、父親としてちゃんと見ていたんだなと思いました。多分、自由になりたいっていう願いを持ってるのは赤ずきんや猟師だけが持ってる感情じゃないと思うんですよ。今現在の社会でも親の束縛から解放されて自由になりたいとか、仕事から解放されたいとか何かしらの自由願望があると思います。私はこの作品を観劇して思ったのが、自由になることは難しく、他人の思いを捻じ曲げたとしてもぶつかっていって願望を叶えるのも悪くないんじゃない。というメッセージ性を感じました。全体的にまとまっていてすごく楽しめた作品でした。 精華高校演劇部の皆さん。とても楽しい劇をありがとうございました。

「赤ずきんちゃん!」精華高等学校Aチーム (金蘭会高等学校)

8月2日水曜日ウイングフィールドにて、精華高等学校の「赤ずきんちゃん!」を観劇させて頂きました、金蘭会高等学校演劇部です。 まず初めに「赤ずきん」という童話の世界をしっかり表現されていた音響について、お話させていただきたいと思います。客入れの段階から、劇の中の雰囲気を崩さずに、尚且つ「これからどんな劇が始まるのか」というワクワク感を引き出されるような感覚でした。劇が始まった途端の普段聞き慣れないような音楽で、一気に劇世界に引き込まれました。ミュージカルのように歌や踊りを取り入れ且つ、転換の際の独特な動きには私たちでは成し得ない大きな発見がありました。 照明では、音響と同じように「赤ずきん」という童話の世界を表現するために、地明かりが少なく幻想的な雰囲気に仕上がっていたのではないかと思います。また、シーンごとの切り替えが多かったこの作品で、照明をきっかけにしたシーンが多々あるように見えましたが、どのシーンもミスがなく私たちもまた気持ち新たに次のシーンにしっかり集中することができました。 そして役者の皆様。ウイングフィールドという役者と客の距離が近いからこそ、役者の方の表情や動きがしっかり捉えられ、また爪先や目線までしっかりと意識を張り巡らし、美しい流動的な動きを見事に再現されていたことに圧巻を受けました。動かずに長く立つ時間が長かったと思いますが、それでもそのストップモーションに隙が無く、だからこそ舞台前方で繰り広げられていた劇世界にしっかり入り込むことができました。誰しもが舞台上にいる時は台詞を言う訳で無い、だからこそ動きや視線、演劇において重要なのは言葉だけではないということを実感することができました。 また、今回の「赤ずきんちゃん!」という劇では親子間による精神的束縛の連鎖、愛情の裏、そして自由という大きなメリットの代償など、誰もが一度は心に思い浮かべたことのある小さく、そして大きな悩みを童話に絡めて客である私たちに伝えようとしていたのではないでしょうか。 最後になりますが、精華高等学校演劇部の皆様。アフタートークを含め、素晴らしい60分間をありがとうございました。貴校のますますのご活躍をお祈りしております。 金蘭会高校2年 大野雛乃 金蘭会高校1年 藤本愛心 #end

「ナイス・コントロール」 美原高校 (大谷高校)

美原高校さん、 「ナイス・コントロール」の上演、お疲れ様でした。 会場中から、下手のテーブルクロスがスクリーンになっており、文字が映し出されていて、喫茶店のようなポップな雰囲気の装置に心躍らせ開演する前から楽しめました。 いざ、開場すると、最初はなんの投票をしているのだろうと不思議だったのですが、小鬼に見守られながら段々と解き明かされる謎に目が離せませんでした。 飲み物と数字の関係など、 伏線が張り巡らされており、 1度目よりも2度目が面白くもっとじっくり見させて頂きたいなと思いました。 現世とあの世の中間に位置する喫茶店に集められた10人は、 それぞれ、戻りたい事情、 戻りたくない事情があり その中の人間模様を見ているのも楽しかったです。 最後、結局は全員同じホテルにおり、乾ジンのタバコの火の不始末だったというなんとも、やるせない結果だと思えば、その先にも物語があり、2転3転とする芝居にハラハラでした。 舞台と客席が近いのもあり、役者さんのお顔がはっきりと見えました。皆さんのコロコロと変わる表情に思わずクスッと笑ってしまいました。役者の方々一人一人キャラクターが濃くて、終始笑いっぱなしでした。 どのキャラクターも魅力がたっぷり詰まっています。 音照さんの息もぴったりで、 赤い照明で、事件の再現をするシーンでは私もホテルにいたかと感じてしまうほど引き込まれました。 投票の後の次の日になる転換での曲が印象的で、曲に合わせて役者の方が動いてらっしゃるのが面白いなと思いました。 思わぬ所で、人間って結局繋がっているものなんだなと感じました。 あっという間の90分で、物語の展開や工夫された数々の舞台に端から端まで目が離せませんでした。 今回は、素敵な作品をありがとうございました。 大谷高校3年 清水沙羅羽 大谷高校1年 石井日陽

「少女瓶詰」 咲くやこの花高校 (豊島)

会場に入った時に、一人ポツンと座った女性がいて、微動だにしなかったため本当に生きた人間なのかを疑いました…。その時からすごく開演が楽しみで、世界観を引き出している装置たちから目を離さずワクワクしながら待っていました笑 始まりの前説、初めはシンプルに面白いと感じたのですが後からストーリーの大事な鍵が散らばっていたことに気づいて鳥肌が立ちました!始まりからこだわられていて、すごく引き込まれました! 照明は各場面場面にあった色を使われていて、ワクワクしました!炎の中、海の中、花火なんかまで再現されていてびっくりしました!!ほんと綺麗でした…っ! 音響は各情景が頭の中で思い描けてしまうほど合っていて、感情移入しやすかったです!特に、最初と最後のシーンの炎の中、ミクリとシブキが会話をしているところのだんだんと大きくなる炎の音がすごく不気味で、もうそこまで迫っているのがわかって、また鳥肌が立ちました…ほんとすごかったです! 役者の方は、どの方も演技が素晴らしかったです!声は通るし、表情や声のトーン、抑揚、全てにおいてすごくて、目が離せなかったです!人魚さんやしづかさん、お魚さんたちと少し人から離れた人物を演じられた方々の、不気味に感じられるのに綺麗な話し方や少し変わった雰囲気がすごく好きで個性的なキャラをここまで表現できるなんて…とすごく勉強になりました!! 考察の仕方や、みる人で考え方が違うストーリーで、最後まですごく楽しませてもらいました!!もう一度!機会があればまたみたいなってすごく思いました!素晴らしい作品に出会えて光栄です!ありがとうございました!(1年・林ひなた) 咲くやこの花高校演劇部さん、上演お疲れ様でした。 ホールに入ってまず思ったのは、「あれは、人?」でした。人が舞台上に予め待機されていたのが目に入り、そのあまりの微動だにしなさに人形か疑うレベルでした。客入れの曲が下がってからは前説で、これはキャラクターが行うユニークなものでした。本編にも関わる大切なセリフを言っていたのを、2回目の本番のときに気づきました(私は1回目はゲネプロを観劇させて頂いてます。)。 お芝居全体のことでは、咲くやさんは照明の使い方がとても綺麗だと感じました。家が燃えているときについていた赤い光や、過去のことを表すときの木漏れ日のような光、さらには花火を表現するために光の強さを変えていた...

「夢遊少女ーDream Girlsー」 枚方なぎさ高校 (大谷高校)

枚方なぎさ高等学校さん、 「夢遊少女 ‐Dream Girls‐」の上演お疲れ様でした。 頂いたパンフレットでは、 楽しそうな練習風景や手書きの自己紹介など明るく楽しそうなイメージな反面、「夢遊少女」と言う題名や冊子、また2色に光るふたつの空間から湧き出る綺麗ながらもミステリアスな雰囲気は開演前から私達を作品に引き込みました。 そして、作品が始まると、 ミステリアスな雰囲気とは売って代わりクスッと笑えるシーンが多くて楽しかったです。 情緒不安定で真逆な2面性を持つ 「美麗・翔子・鈴」、 大人びてかっこいい「錦戸先生」、私達女子校にはない光るものを持ってらっしゃる「田之上さん・松野さん」皆さんのキャラクター、一人一人が粒立っていて、出てこられる度次は何が起こるのだろうとワクワクでした。 それぞれの環境と思いで悩み苦しむ少女達と、「一人の生徒の死」と「特別」に悩む元教師。思いと悩みが絡み合って織りなす舞台は観客に強く訴えるものがあり、とても感動しました。特に松野さんはご自身でも仰ってるように1番人間味がある中で、予言通り行動することができたことに強く感銘を受けました。 また、ゲネ公演含め2度見させていただいて、田之上さんのお煎餅が「ぱりんこ」から「ぽたぽた焼」に変わっていたり、松野さんの出てくるところで伊達ねがねをかけられていたりと二度見て二度楽しめる舞台だったので本当に楽しかったです。 装置は、 斬新で舞台が大きくふたつに別れており、照明も監視する側される側、人格の表裏などが対比していて2色に大きく別れており視覚でわかる舞台の世界観に引き入れました。 音照さんの息も、ぴったりで、 場面転換の心地よい音楽や、 テレビのチャンネルを変えるシーンでは役者さんとも息がぴったりで、知っている音楽が流れたり、とても面白くこのような方法があるのだなと勉強になりました。 鈴が登場する際...

「ハックルベリーにさよならを」大阪成蹊女子高校 (桜塚高校)

 大阪成蹊女子高校さん『ハックルベリーにさよならを』の上演お疲れ様でした。  あらすじを見て、カヌーがどのように物語に影響してくるんだろうとすごく気になったので、開演するまでとてもワクワクしていました。また、女子高の俳優さんがどのように男性役を演じられるか気になっていたのですが、凄く上手に女の子が男性役を演じられていたので感動しました。他の役者もキャラクターにしっかりハマっていました。一人一人の個性がハッキリしていたので、見ていて面白かったです。表情の動きもあってキャラクターの個性がより表現されているように感じたのでとても良いと思いました。現実的なストーリーの作り込みが素晴らしく、とても引き込まれました。この作品には自分の考えと重なる点も多く、自然に涙が出ました。まだ小学生の主人公にも関わらず、周りの環境からか考えが少し大人っぽいところがあるように感じました。そんな主人公が自由を求めて、自分の進みたい方角に進むことができるカヌーに乗りたいと願う姿には非常に心を動かされました。2人のケンジの掛け合いのシーンでは、本当にその場面に遭遇しているかのような感覚になりました。お母さんのケンジを思う気持ちの表現が自然で素晴らしかったです。  ここからは裏方にも触れたいと思います。照明は、ホリゾントライトが巧みに使われていて、シーンの雰囲気作りにとても貢献されていたと思います。物語後半辺りからスモークが焚かれ始め、「一体どんなシーンでこのスモークが活かされるんだろう?」とワクワクしていると、ラストの隅田川を下っていくシーンで、色鮮やかな明かりたちとの相乗効果により、素晴らしい舞台となっていました!…と思いきや、ラストで、ボクがケンジの被っていたキャップを譲り受けて空を見上げ、舞台中央後方に置いてあったソースフォーで光の筋を作り出すという演出には痺れました。あの終わり方はとてお洒落というか、かっこいいというか…とにかく言葉で言い表せないほど素敵でした! また、川を下るシーンの照明で、PARや斜め(間違っていたらすみません!)に、それぞれ違う色のカラーフィルターを仕込まれていたのも、工夫されていて綺麗だなと思いました。舞台美術としては、ケンジの家のリビングのテーブル、上手下手の捌け口に伸びる階段状の通路、川の説明をするためのプロジェクションマッピング、などなど、どれも完成度の高いもの...